2011年9月27日火曜日

アジョシ

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映画『アジョシ』公式サイト

 

映画館でポスターが裏返しに貼ってあるのを目撃した時は衝撃を受けましたが・・・。

IMG_2279隣の『ラビット・ホラー3D』はちゃんと貼ってあるんですけどね・・・。

 

という事で、ずっと観たかった『アジョシ』、観てきましたよ!

なんなんですか、この映画は。隣のおじさん、最強じゃないですか。

 

ajoshiwobinsominやっぱキム・セロンちゃん演じる少女・ソミの存在がデカすぎでしょ。
彼女の可愛らしさたるや・・・
もうなんなんですか。最強じゃないですか。

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 1.webm_000487404   The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 1.webm_000486028
主人公テシク(ウォンビン)にキラキラした瞳を向けて『じゃじゃーん♪』なんて自作のネイルアートを自慢してみたりして、ちょっぴりおしゃまでカワイイったらありゃしなイミダ。


こんなに可愛いソミちゃんなんですが、
一見無邪気そうに見えて、とてつなく可哀相な境遇なんです。

父親は超DV野郎で母親は薬物中毒で家庭環境は劣悪の極み。
ソミちゃんは親の愛もロクに知らず、家庭がこんな感じだからご近所さんや同級生、その保護者にまで軽蔑されて、所謂あの子と遊んじゃダメよ」状態。


そんなこんなで完全ひとりぼっちで生きているソミちゃんですが、唯一、隣の家に住んでる質屋のおじさん・テシクには心を許しているって設定。

テシクを「アジョシ(おじさん)」と呼んではちょくちょく遊びに行ってるんです(一方的に押しかけるスタイルで)。またテシクの「迷惑そうにしながらも、実際まんざらでもない様子」も微笑ましくてイイじゃないですか。

そんなソミが急に涙を流して「おじさんの事まで嫌いになっちゃったら、私の好きな人は1人もいなくなっちゃう・・・。」って言うシーンなんか、「誰がこんなベタなお涙頂戴シーンで泣くかよ!ばーか!」と泣きながら思いました(;_;)。


キム・セロンちゃん、おそらく『冬の小鳥』での彼女の名演が評価されてのフックアップなんでしょうけど、今回も本当に素晴らしい演技を見せてくれます。
すっかり僕の心は彼女に奪われてサンチュに巻かれましたよ!


ところがそんな可愛いソミちゃんが悪の組織に誘拐されてしまいます!
しかもその組織ってのが「人をさらって臓器売買」の業者だっていうんだからさあ大変だ。

o0450033011500386148ソミちゃんの母親もドライヤーを使ったやけに陰湿な拷問の後、無残にも殺されて体の中身をからっぽにされちゃいます。

 

この辺からはもう悪の組織とやらが憎くて憎くて・・・。

なんせ悪の組織のボス「マンソク兄弟」が悪いのなんのって、ただ事じゃないんですよ。
素晴らしい演技力で「俺たちがムカつきたい悪役」を見事に演じきってくれます。

ajoshikyoudaiマンソク兄(キム・ヒウォン)

ajoshikyouda1マンソク弟(キム・ソンオ)

特に弟(キム・ソンオ)がね、殺人や拷問をレクリエーションの一環だと思ってるような「ちょっとイッちゃってる男」で腹立つんですよね!


で、隣のおじさんテシクが、彼女を救出に向かいます。
テシクってば、実は元アメリカ情報特殊部隊出身で超ド級の戦闘スキルの持ち主なんです!

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 1.webm_000644770伸ばしっぱだった髪を・・・

100611-009-01バリカンで刈り上げ闘争本能を駆り立てます。

戦闘スキルだけでなく、自己散髪能力も並々ならぬ腕前です。
「もう坊主にしちまえよ!」と思わないでもなかったですが。

 

テシクは単身、悪のアジトに正面から乗り込み、悪い連中を一網打尽に駆逐していきます!
ここがホント「爽快」の一語に尽きる!

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 7.webm_000342551アジトにいる悪者は17人。こいつらにテシクが1人で戦いを挑みます。

17対1で戦うってだけでも随分あげぽよな展開ですが、その戦いぶりというのが拳銃&ナイフの血みどろハイパーバトル!

しかもこの壮絶な戦いの直前には、「ソニはどこだ!?」と叫ぶテシクにある物が手渡されます。
それはガラス瓶に入った2つの目玉・・・。うわ~・・・。

テシクはどうしようもない怒りと悲しみに打ち震えながら報復としての大殺戮を繰り広げるんですよ!
かつてこれほどまでに泣ける殺戮シーンがあったでしょうか?
あるでしょうけど、なかったんじゃないかと思いたい!

19999「お前らの金歯以外は喰い尽くしてやる!」と、よく分からないけどなんだか凄い宣告が印象的でしたね!

 

そしてカッケーのがこの後!

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 7.webm_000719052 The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 7.webm_000730355
テシク VS 悪の組織専属のベトナム人殺し屋ラム・ロワンという、1対1のタイマン・ガチンコバトル!

しかも敢えてお互いに銃を捨ててナイフを構えて戦うという肉弾戦に突入するんです!

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 7.webm_000695070この時ラム・ロワンは正義だの悪だのイデオロギーは別として、「同じ戦闘系男子としての能力を競いたい」と思ってテシクに戦いを挑む訳ですね。

殺しを生業とする者同士の本能とプライドがぶつかりあう展開がサイコーなんですが!

それもさることながら、このナイフを使ったバトルシーンが本当にお見事でして、手持ちカメラでかなり接写気味に撮る事で臨場感が物凄いし、戦い方も非常にトリッキーで楽しいんですね。
戦ってる途中で相手の指をひねったり、相手の手を歯で噛んで押さえつけて自由を奪うとか、「よくこんなコト考えつくな~!」って感心しました。

よく考えたら、主人公の最大のライバルが外人っていうのも凄いアイディアですけどね。


このシーンに限らず、アクションシーンは沢山あるんですが、戦い方のバリエーションが豊富で観てて飽きない工夫が施されています。

印象的だったのはクラブ(ディスコ)のトイレで戦うシーン。
個室を上手く使ってましたね。幾つもある個室のドコに潜んでいるのか?とか、個室の中での狭所アクションとか。

特にテシクが使う独特の武術がカッコイイ。
カンフーでも合気道でもない、やたら敵と接近して戦うスタイルで興味深かったですね。
なんでも、ボーン・シリーズでマット・デイモンが使っている東南アジアの格闘技など3種を組み合わせた独自の型だそうです。

 

当然ながら、悪の組織のボス・マンソク兄弟も例外なく惨殺しちゃいますよ~☆

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 7.webm_000109401特にムカつくマンソク弟に執行される釘打ち機による拷問&手作り時限装置による爆死には「あら、いい拷問♪」って感じで100万点差し上げたくなります。

 

The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 8-end.webm.crdownload_000083709  The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 8-end.webm.crdownload_000051051
The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 8-end.webm.crdownload_000075242  The Man From Nowhere 2010 (아저시)PHAN 8-end.webm.crdownload_000066191
  兄(キム・ヒウォン)の死に様は弟に比べれば若干地味といえば地味なんですが、それでも思う存分、忍び寄る死の恐怖に怯えながら不細工に死んでいってくれたので良しとしましょう!

見苦しく怯えるマンソク兄冷静に発砲し続けるテシクのコントラストが素敵でした。

「ムカつく悪役にはブザマな死に際が似合う」っていうのは世界共通の認識なんですね。
このマンソク兄弟2人の演技生前の憎たらしさ往生際の醜さはホントお見事でした。

 


気になる点も幾つかあったんですよね。

やっぱあの韓国警察の雑さっていうんですか?
韓国警察のレベルの低さって言うのは前々から指摘されていますが、いくらなんでもここまでユルイと興ざめします。
だいたい、基本的に捜査がいちいちノロすぎます!!
「何かが起こってからでは遅いんだ」っていう事態だろうが何かが起こるまで動きませんし、「ホワイトハウスに偽の脅迫メールを送って・・・」なんて中学生レベルの捜査方法(しかも案外上手くいく)も気になりました。
え、なに、ホワイトハウスって馬鹿なの?

ちょっとどうでもいい警察の描写が多かったような気がしますね。どうせ大した捜査しないのに・・・。


そしてテシクの無謀さや無計画行動も気になります。
冷静なように見えて結構、後先考えず行動するんですよね・・・。

マンソク兄から「弟に何かあったらソニの命はないぞ!」って警告されてるんだからさ、ソニを救出するつもりがあるんなら、あそこでマンソク弟を拷問&殺害しちゃだめでしょ?

たまたまソニは助かったけどさ、あれはホントにたまたまじゃん?
なのにテシクさんったらクライマックスで目玉渡されて激怒しちゃって、「それ半分くらいはオマエのせいじゃね?」って思わずにはいられませんでしたよ。

あと、「敵のアジトに行くとき、もうちょっと急げよ」とか、警察官に見つからないように行動する時、「全身黒づくめでキャップかぶってもスゲー目立ってるよ

とか色々あるけどさ、、、。

 

そんな感じで気になる所も多々あるんですが、前述のとおり、良すぎるシーンが良すぎるから積極的に目をつぶりたいと思います!

 

で、この映画の良さの1つとして、主人公テシクがなぜ血の繋がりもない近所の女の子ソニを愛して、なぜ命がけで彼女を助けようと思うのか、その理由の描き方が素晴らしいと思うんですよ。

1317723「自分の娘が生きていたらこれぐらいの歳だろうな」とか「孤独に生きる者同士の共感・共鳴」とか、理由も1つじゃなく多面的だし、「ソニを救済する事」が「テシク自身の魂の救済する事」にも繋がる。

しかもそれをセリフで説明しちゃうような野暮な演出はないんですよ。
テシクやソニのバックボーンを要所要所で挟み込んだり、2人の微妙な表情の変化や、感情の機微で、それとなく見せていく。

2人の絆の見せ方がとてもスマートなんです。

だから2人の繋がりが魅力的だし、感動的だし、ラストシーンでテシクがソニを抱きしめながら言うの「一人で生きていくんだぞ」ってセリフが胸を打つじゃないですか。

71509_S72_210658ソニの救出後、人を殺して汚れた手で彼女を抱きしめられなかったテシクが、最後の最後で「一度だけ抱きしめさせてくれ」って思わず言っちゃうところも素敵でした。

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映画を観た後しばらくしても「ソニちゃん、今頃どうしてるのかな?」って思いを馳せちゃうような、とっても素敵な映画でした。

 

 

どうでもいいけど、ラム・ロワン役のタナヨン・ウォンタラクンさん。

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なんか癒されるオフショット(笑)。

2011年9月23日金曜日

サンクタム

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映画『サンクタム』公式サイト


なんといっても映像の美しさが素晴らしい!
冒頭から凄いんですよ!水面ごしの日光演出 on 3D。水中にさしこむ太陽の光が3Dで飛び出します。

Sanctum Movie Trailer Official (HD).webm_000030042   Sanctum Movie Trailer Official (HD).webm_000008042Sanctum Movie Trailer Official (HD).webm_000052042   Sanctum Movie Trailer Official (HD).webm_000046208
パプアニューギニアの雄大な自然や、荘厳としか言いようのない洞窟のビジュアル。
3Dの大自然映像にテンションが上がります。
こんな3D映像の感じ方もあったのかと感心しきり。

さすがジェームズキャメロン。偉そうに3D映画の御意見番やってるだけあります。
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こんなデッケー洞窟なのね!


ただね、映像的には驚かせてくれるんですが、ストーリー的にはなかなか予想の上を行ってくれない。
もうジェームズ・キャメロンはストーリーなんか二の次なんでしょうか。
アトラクションムービーのアトラクション部分に特化しすぎて、ストーリーが凡庸な感が否めませんでした。

・遭難・あるいは閉じ込められる
・外部との連絡が途絶え孤立する
・ここから脱出するぞ!おー!
・死ぬ前にやたら切ない独白をする奴。
・ワガママなバカ女がそのバカさゆえに死ぬ。
・いけすかないボンボン野郎が裏切る。
・助かる人数が限られている。
・主人公と最も親しい仲間が死ぬ。
・主人公1人だけ帰ってくる。
・・・的な、この手の脱出サバイバル系映画にありがちな王道パターンをなぞりまくり!

登場人物の死に方が洞窟とさほど関係ない気が・・・。
出来れば大自然の猛威に巻き込まれて死んでいってくれた方が、こちらとしてももっと「洞窟チョー怖え!!って感じで素直に畏怖出来たんですが。「俺たちの怖がりたい洞窟」とはちょっと違うなあって感じでした。

潜水病が再発して死ぬジョージも、
その前の段階から「潜水病はつらい」だの「血がビールのように泡立つ」だの、潜水病の恐ろしさを得々と語るので、もう誰がどう見てもこのあとジョージが潜水病になる伏線だろっていう。親切に「みなさーん!伏線ですよ~!ふ・く・せ・ん~~~っ!」って教えてくれます。

死ぬ直前にわざわざジョシュに向かって父・フランクのすべらない話や、彼がいかにグレートな男かを伝えるんですが、まるで「オレ、死ぬ時はジョシュにこのハナシしてあげよーっと」つって事前に決めてたんじゃないかってくらいの語りっぷりです。出し惜しみしてねーで生きてるうちに教えろよ!みたいな。

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「お前の父ちゃん、超グレイトだったぜ!」(大意)



そんな中でも特に女性キャラ2人の死にざまの描き方が若干偏向ぎみというか、もう単なるバカとしてしか描かれてない気がするんですよねぇ・・・。
「ね?女ってバカだろ~?」みたいな。まあ考えすぎでしょうけど・・・。

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あんま洞窟とか関係なくうっかり死んじゃう女の人。
今となっては役名すらわかりません。

ヴィクトリアなんか、いかにもジェームズ・キャメロンが好きそうな「アクティヴな体育会系オンナ」って感じで、彼女が登場した時はもっと良い役なのかと思ってたんですがね。
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この辺まではイイ女。ジェームズ・キャメロンは美人をやたらヘリに乗せたがりますね。
ところが蓋を開けてみれば「ウェットスーツ着たくない」だの「これは出来ない」だの・・・。
普通、死ぬか生きるかって時にそんなワガママ言うかね?
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「あれヤダ!」「これヤダ!」ワガママ言いつつも・・・

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彼女なりにしぶしぶ頑張ってはいたんですけど・・・

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結局死にます。南無~。


とはいえ、メンバーが死ぬシーンはスリラー映画ばりにおっかない。
おっかない場面は超おっかなく描写して、どこがどうなって死んだのか『死にざまをちゃんと見せる』っていう所が好感持てますね!

そんな感じでメンバーが1人、また1人と命を落としていく訳ですが。
次々に死んでいくんだろうなって事は想定の範囲内なので悲壮感や驚きを余り感じない。「さて、次は誰が死ぬ番かな~?」っていう死亡順トトカルチョくらいしか出来ない。


だけどね、そんなに駄目なトコばかりじゃなくて、良い所もちゃんとありますYO。

それは父と息子の関係。

父フランクが息子ジョシュに対していかに厳しい教育をしてきたかって事が、特に説明が無くても登場人物のセリフの端々で分かるようになっているんですよね。
ジョージ達がフランクに忠告するセリフ「息子に厳しすぎやしないか?」「ジョシュは良い子なんだから優しくしてあげて」。
あるいは主人公の思い出話「父親に“洞窟が好きか?”なんて聞かれることさえなかった」。
駄目な邦画ならわざわざ子役を使って再現してみたりして余計な回想シーンを足してみたりしそうなもんですが、そんな野暮な事はしない訳ですよ。
このあたりのスマートな省略が、スッキリしていて観やすいですね。


初めは対立していた父親と息子が、だんだんと和解して行く様子。
ロッククライミングが得意な息子が活躍するシーンで初めて父親の表情が緩んで笑顔がこぼれる場面。
すこしずつ父親越えしていこうとしてる息子を嬉しそうに見守る父の表情。
仲間が次々と死んでいき、父子2人きりで行動するようになってからは、父親が息子の世話になる事も増えて、いつの間にか息子もリーダーシップをとって行動し始めます。

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崖を登るとき、息子の差しのべた手を父親が掴んで登るシーンなんかも、
息子の腕を父親がガッチリ掴むのがアップで映るあたり、明らかに「親子の絆がガッチリ結ばれた瞬間」を感じてグッときちゃいました。


そして父との死別シーン!
もう自分は助からないと悟った父フランクが、かつて自分も瀕死の仲間にそうしたように自分を水の中に沈めて殺すようにと、息子ジョシュに指示するんです。

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この辺もベタな展開なんですけど、もう映画も終盤なんで多少ベタ慣れしてるというか「ここまできたらベタなお話がみたい!」って思っちゃってるんですよね。ありがちな展開ですけど、ここも思わずグッときちゃいました。
そんな感じで、この父子の関係には何度もグッときちゃったんですが、、、

グッときちゃっただけに、つくづく父の死因が残念すぎる!
あんなファイナルデッドシリーズみたいな死に方あんまりだよ!
なんかもっとドラマチックな死に方用意してあげてよ!
映画自体ここまでベタなストーリーにしちゃってるんだから、死因も「自分の命と引き換えに息子を救った」とかさ、それぐらいベタにやってほしかった!


息子ジョシュ役のリース・ウェイクフィールドくんの演技も素晴らしかったですね。
聞けば彼、この「サンクタム」でハリウッドデビューなんだそうです。
弱冠17歳のひ弱な青年が 死を目前にして、一人前の男になっていく様子が良い。

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最初は「温厚で良い奴だけど、どこか甘ったれてるキャラ」だったんですけど、物語が進むにつれて、主人公ジョシュの表情もりりしく変わっていくじゃないですか。

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成長が表情に表れている。その表情で全てを物語れる演技力が素晴らしかったです。


ちなみに、こないだも当ブログ記事に書きましたが、
キャメロン監督は先日劇場公開された『ピラニア3D』に関して
「こんな低俗な作品は3D映画を駄目にする!」とディスってましたが、
ジェームズキャメロンの監督デビュー作コレですからね!
殺人魚フライングキラー [DVD]
殺人魚フライングキラー [DVD]

2011年9月22日木曜日

BOOKS

しばらくサボっていた読書活動を再開。

本は買うけど読まずに本棚に積まれていくという「積ん読」な本が増えてきたので、ここらで一掃してやろうと思っています。

 

テロルのすべて
テロルのすべて
樋口毅宏の著作の中ではかなり薄く、読みやすい(時間的に)。
それだけに彼の「今すぐ書きたい事」「今すぐ読ませたい事」がギュッと濃縮されて詰まっている印象。
なにかほとばしる衝動が書かせたような小説で興味深く読んだ。
過去のサブカルチャーからのサンプリングも健在。
そしてラストのゾクゾク感たるや衝撃的!!
破壊を止める愛と、愛が生む破壊。
真っ直ぐな人は真っ直ぐであるがゆえに巨大な矛盾を抱えてしまうのだな。


なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書)
なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書)
「選挙」「精神」など、『観察映画』なる新手法ドキュメンタリー映画を撮り続ける想田監督の新書。
想田監督の新作『Peace』を主題に、彼がなぜ『観察』という手法にこだわるのか。時に鋭く、時に微笑ましい。


いつだって大変な時代 (講談社現代新書)
いつだって大変な時代 (講談社現代新書)
こんな時代やさかい、読んで考えて肩の力を抜くべし抜くべし抜くべし。
俺が個人的に最近『なんかモヤモヤするなあ~』って思ってた事を解決するヒントが色々あって白眉。
脱力系偏屈ジジイならではの発想だね。
週刊文春の連載『ずんずん調査隊』が終っちゃってサビシイんだけど、最近は新書執筆に力を入れているようで目が離せません。

いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)
いますぐ書け、の文章法 (ちくま新書)
まあ俺は文章で喰っていくつもりないか文章法なんて割とどうでもいいんだけど(笑)、堀井憲一郎なんで一応。


マイ仏教 (新潮新書)
マイ仏教 (新潮新書)
もうこの人は、書く文章そのものがだんだんと”お経化”してる気がする。


ガールフレンド (P‐Vine BOOKs)
ガールフレンド (P‐Vine BOOKs)
これはハッキリ言って名著なんで、絶対読んでください。
ステキな着眼点とキラめく発想を持った永遠の女子が、名文・美文を連発。
ため息が腕にかかって、汗の跡がひんやりした」なんてさ、なかなか書けないよね。1シーン1シーンの切り取り方がホント素敵。

2011年9月15日木曜日

Dhinka Chika

 

Facebook見てたら偶然出くわしたこの動画。

一体この曲と踊りは何なのか。
一体どうしてパンイチなのか。
こんなに踊れて、華麗な側転も出来るのに、どうしてこんなに太っているのか。
『踊れるのに太っている』のか?『太っているのに踊れる』のか?

数々の疑問が浮かんでは消え、浮かんでは消え・・・。

おそらくインド人の撮影した動画だと思うが、遠い海の向こうで起こっているこの異常事態には動揺を隠せない。

このインドの幼な子の姿に、俺の心はカレーまみれの手で鷲掴みにされた。

この無駄に生き生きとした表情・機敏な動き・怠惰の限りを尽くしたボディ・絶対甘やかされて育ってる感・・・全てにおいて完璧じゃないか。

 

音楽の鳴っている時とそうでないときのON/OFFの差が激しい点も見逃せない。踊っている時の「世界一美味そうなもん見つけた!」みたいな顔と、踊ってないときの無表情ぶりのギャップ。まるで一流スターの風格ではないか。

 

どうやら元ネタはコレみたい。

大ヒットしたインド映画の1シーンをそのままPVにしたものだそうで、少し前にインドで大流行したらしい。。

 

さらに。
インドではこの「Dhinka Chika」なる曲に合わせて子供を踊らせて、その動画をYOUTUBEにアップするのが流行っている様子なのだ。

 

こうやって他の有象無象のフェイクスターどもと比較してみれば、彼がいかに才能あふれる真のスターであるかが一目瞭然である。

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やはり彼こそ真のスター。他の追随を許さぬ輝きを放っている。2

2011年9月14日水曜日

くまのプーさん

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くまのプーさん | Winnie the Pooh | ディズニー映画 公式サイト

 

『ピラニア3D』の後に『くまのプーさん』の感想を書くっていうのも、まあハッキリ言って、どうかしてるとしか言いようがないんですが、こういう公開日時の順番なんだから仕方ないでしょっ!

 

基本的にはこれまでの「くまのプーさん」の既存エピソードを数本寄せ集めて、それを今のディズニーの技術でブラッシュアップさせた作りでした。

アニメーションのクオリティとしては、安心のディズニークオリティ。動きやテンポも完璧でした。動きで笑いをとるところのタイミングやスピードがコメディとして完璧なんですよね。

 

こないだ観た「カーズ2」もそうだったんですが、
ここのところのディズニーは「子供向け作品であること」に重点を置き始めているのかな?と。

たとえば「トイ・ストーリー3」なんかが顕著だと思いますが、
ここんとこのディズニー(ピクサー)作品って、基本的には子供も大人も楽しめる作品ながら、恐ろしいシーンは徹底して恐ろしく描いてみせたり、主人公にこれ以上ない絶望を味あわせてみたり、時にはキャラクターが流血までしたりして、子供向けにしては若干いびつな作りだったじゃないですか。ストーリーも比較的大人っぽかったし。

それが「カーズ2」「くまのプーさん」と2本立て続けて、明らかに子供に照準を合わせた作りになってるんですよね。

偶然子供向けっぽいのが2作続いたのか、それともディズニーの明確な今後の方針なのか、この辺が気になります。

 

で、『くまのプーさん』を観て誰もが思うところだと思いますが、
ゾッとするほどカオスな世界観なんですね。

まず登場キャラクター全員が何らかの形で狂っている。

それプラス、
キャラクター同士が誰がボケようとも誰も突っ込まない混沌としたやりとりをするんですよ。
突っ込むどころかむしろどんどん便乗していって、
野生爆弾のコントを見ているような、西村知美が8人くらいいるような。

一言で言えば、100エーカーの森には面倒くさくない奴が1人もいないっていう。

WINNIE THE POOHお前らのことだよ!


つーか・・・
こんだけ狂った連中が、毎日この調子で延々と噛み合わない会話してるんでしょ?
よく殺し合いになったりしないな!っていう。
だってこんなの、先生がいない養護学校みたいなもんじゃん!

 

『くまのプーさん』予告編.webm_000003537『くまのプーさん』予告編.webm_000004037
もう20万回くらい観た事あるような2頭のやりとりも健在。


とはいえ、この面倒くさい連中の面倒くささこそが「くまのプーさん」の醍醐味でもあるんですよ。

勘違いに勘違いを重ねて勘違い行動を勘違いしながら繰り返してると最終的に本質のようなものに辿り着いたような気がする・・・っていう。
その「ほんのりぼんやり感」こそが ”くまプーイズム” なんじゃないですかね。

 

凶悪なるモンスター「スグモドル」の存在に恐れおののくシーンになると急に絵のタッチが変わって、なんだか昔のディズニーのサイケデリック感を彷彿とさせるシーンもあったり・・・

ボク的には「ダンボ」のこのシーンを思い出しました。
さすがにここまでブッ飛んではいなかったですけどね・・・。

 

サイケデリックといえば、プーさんのハチミツ好きがただ事ではなくて、
嗜好とか好物の範疇を遥かに上回る、もはや『中毒』『依存』の域なのには驚かされましたね。

webm_000040073  webm_000039139tumblr_lqgqtgKWVZ1qhcrb0o1_500  『くまのプーさん』予告編.webm_000036036
ミツ(ヤクみたいな言い方)が切れて、禁断症状が出てしまうプーさん。
脳内でハニーアイランドにトリップしてしまいます。

 

この映画の基本ストーリーとして、
いつのまにか紛失してしまったイーヨーのしっぽ探しと、『スグモドル』なる怪物に誘拐されたと思しきクリストファー・ロビンの救出劇が並行して描かれるんですが、どちらも「かけがえない仲間は助けるしかない」「困ってる仲間がいれば放っておけない」という共通の目的意識や原理の下での行動なんですね。

そして最後には、あんなに飢餓を訴えハチミツに執着をしていたプーさんが、ハチミツよりも仲間との友情を選択する訳です。

こ、これは、、、
ダメな少年が、自分にとって大切な物を守るために一念発起して依存や甘えから抜け出し、大きく成長する男のドラマじゃないですか!

プーさんがハチミツの誘惑を絶ってまでイーヨーのしっぽを届けに行くシーンなんか、
まるで『SUPER8』のラストで主人公ジョーが母親の形見のペンダントを手放し、代わりにガールフレンドの手を握り締めるシーンのようでしたよ!

 

あと、プーの最大の短所である「ついさっきの事も平気で忘れる」という点。
映画の中でもこれが引き金となってピンチに陥るんです。
「それはさっきお前が置いた壷だろ!」っていう・・・。
あのうっかりぶりはちょっと映画史に残るんじゃないかってくらい衝撃的だったなあ。あんなレベルの低いケアレスミスがあっていいのか!?
時期的にこのニュースを彷彿とさせました。


そしてそのピンチを救うべくピグレットの取る行動ね!
「ロープの使い方そうじゃねえだろ!」っていう・・・。

pigletそうやって使うのを思いつくほうが逆にスゲーよ!

 

あとは、蜂の巣に頭を突っ込んじゃったピグレットを救おうとするプーのマヌケっぷりにも思わず(´∀`)と暖かい気持ちになりました。

 

登場するキャラクターは超ファンシーなのに、ファンシーも行きすぎるとどこか狂気を感じるんですね。
その「かわいらしい生き物が内に秘めたるマッドネス」が 子供達の持つソレとリンクするのかな?だからディズニーのキャラは子供に受けるのかな~、なんて思ったり。

 

個人的にはエンドクレジットの素晴らしさが
くまのプーさんっていう物語はクリストファーが部屋でぬいぐるみを使ってひとり遊びしているときの脳内世界の話なんじゃないかって思えました。

エンドロールもオチャメで良かったですね。ピクサーの「WALL-E」のエンドロールを思い出しました。

ついでに言っとくと、エンドロールの後にもオチャメな展開が待ってますんで、本編が終ったからってすぐに席を立たないように!

 

最後にちょっと難点を。
絵本の中のお話って演出は分かるんですが、アルファベットの羅列を使った演出がちょっとクドすぎるんじゃないかと・・・

あとプーさんのお腹がすいてグウゥゥゥゥゥ・・・ぶるんぶるん!の演出も多すぎやしませんかね・・・。正直、しつけーよ!って気持ちを抑え切れませんでした。