2011年9月14日水曜日

くまのプーさん

131479479324213419772

 

くまのプーさん | Winnie the Pooh | ディズニー映画 公式サイト

 

『ピラニア3D』の後に『くまのプーさん』の感想を書くっていうのも、まあハッキリ言って、どうかしてるとしか言いようがないんですが、こういう公開日時の順番なんだから仕方ないでしょっ!

 

基本的にはこれまでの「くまのプーさん」の既存エピソードを数本寄せ集めて、それを今のディズニーの技術でブラッシュアップさせた作りでした。

アニメーションのクオリティとしては、安心のディズニークオリティ。動きやテンポも完璧でした。動きで笑いをとるところのタイミングやスピードがコメディとして完璧なんですよね。

 

こないだ観た「カーズ2」もそうだったんですが、
ここのところのディズニーは「子供向け作品であること」に重点を置き始めているのかな?と。

たとえば「トイ・ストーリー3」なんかが顕著だと思いますが、
ここんとこのディズニー(ピクサー)作品って、基本的には子供も大人も楽しめる作品ながら、恐ろしいシーンは徹底して恐ろしく描いてみせたり、主人公にこれ以上ない絶望を味あわせてみたり、時にはキャラクターが流血までしたりして、子供向けにしては若干いびつな作りだったじゃないですか。ストーリーも比較的大人っぽかったし。

それが「カーズ2」「くまのプーさん」と2本立て続けて、明らかに子供に照準を合わせた作りになってるんですよね。

偶然子供向けっぽいのが2作続いたのか、それともディズニーの明確な今後の方針なのか、この辺が気になります。

 

で、『くまのプーさん』を観て誰もが思うところだと思いますが、
ゾッとするほどカオスな世界観なんですね。

まず登場キャラクター全員が何らかの形で狂っている。

それプラス、
キャラクター同士が誰がボケようとも誰も突っ込まない混沌としたやりとりをするんですよ。
突っ込むどころかむしろどんどん便乗していって、
野生爆弾のコントを見ているような、西村知美が8人くらいいるような。

一言で言えば、100エーカーの森には面倒くさくない奴が1人もいないっていう。

WINNIE THE POOHお前らのことだよ!


つーか・・・
こんだけ狂った連中が、毎日この調子で延々と噛み合わない会話してるんでしょ?
よく殺し合いになったりしないな!っていう。
だってこんなの、先生がいない養護学校みたいなもんじゃん!

 

『くまのプーさん』予告編.webm_000003537『くまのプーさん』予告編.webm_000004037
もう20万回くらい観た事あるような2頭のやりとりも健在。


とはいえ、この面倒くさい連中の面倒くささこそが「くまのプーさん」の醍醐味でもあるんですよ。

勘違いに勘違いを重ねて勘違い行動を勘違いしながら繰り返してると最終的に本質のようなものに辿り着いたような気がする・・・っていう。
その「ほんのりぼんやり感」こそが ”くまプーイズム” なんじゃないですかね。

 

凶悪なるモンスター「スグモドル」の存在に恐れおののくシーンになると急に絵のタッチが変わって、なんだか昔のディズニーのサイケデリック感を彷彿とさせるシーンもあったり・・・

ボク的には「ダンボ」のこのシーンを思い出しました。
さすがにここまでブッ飛んではいなかったですけどね・・・。

 

サイケデリックといえば、プーさんのハチミツ好きがただ事ではなくて、
嗜好とか好物の範疇を遥かに上回る、もはや『中毒』『依存』の域なのには驚かされましたね。

webm_000040073  webm_000039139tumblr_lqgqtgKWVZ1qhcrb0o1_500  『くまのプーさん』予告編.webm_000036036
ミツ(ヤクみたいな言い方)が切れて、禁断症状が出てしまうプーさん。
脳内でハニーアイランドにトリップしてしまいます。

 

この映画の基本ストーリーとして、
いつのまにか紛失してしまったイーヨーのしっぽ探しと、『スグモドル』なる怪物に誘拐されたと思しきクリストファー・ロビンの救出劇が並行して描かれるんですが、どちらも「かけがえない仲間は助けるしかない」「困ってる仲間がいれば放っておけない」という共通の目的意識や原理の下での行動なんですね。

そして最後には、あんなに飢餓を訴えハチミツに執着をしていたプーさんが、ハチミツよりも仲間との友情を選択する訳です。

こ、これは、、、
ダメな少年が、自分にとって大切な物を守るために一念発起して依存や甘えから抜け出し、大きく成長する男のドラマじゃないですか!

プーさんがハチミツの誘惑を絶ってまでイーヨーのしっぽを届けに行くシーンなんか、
まるで『SUPER8』のラストで主人公ジョーが母親の形見のペンダントを手放し、代わりにガールフレンドの手を握り締めるシーンのようでしたよ!

 

あと、プーの最大の短所である「ついさっきの事も平気で忘れる」という点。
映画の中でもこれが引き金となってピンチに陥るんです。
「それはさっきお前が置いた壷だろ!」っていう・・・。
あのうっかりぶりはちょっと映画史に残るんじゃないかってくらい衝撃的だったなあ。あんなレベルの低いケアレスミスがあっていいのか!?
時期的にこのニュースを彷彿とさせました。


そしてそのピンチを救うべくピグレットの取る行動ね!
「ロープの使い方そうじゃねえだろ!」っていう・・・。

pigletそうやって使うのを思いつくほうが逆にスゲーよ!

 

あとは、蜂の巣に頭を突っ込んじゃったピグレットを救おうとするプーのマヌケっぷりにも思わず(´∀`)と暖かい気持ちになりました。

 

登場するキャラクターは超ファンシーなのに、ファンシーも行きすぎるとどこか狂気を感じるんですね。
その「かわいらしい生き物が内に秘めたるマッドネス」が 子供達の持つソレとリンクするのかな?だからディズニーのキャラは子供に受けるのかな~、なんて思ったり。

 

個人的にはエンドクレジットの素晴らしさが
くまのプーさんっていう物語はクリストファーが部屋でぬいぐるみを使ってひとり遊びしているときの脳内世界の話なんじゃないかって思えました。

エンドロールもオチャメで良かったですね。ピクサーの「WALL-E」のエンドロールを思い出しました。

ついでに言っとくと、エンドロールの後にもオチャメな展開が待ってますんで、本編が終ったからってすぐに席を立たないように!

 

最後にちょっと難点を。
絵本の中のお話って演出は分かるんですが、アルファベットの羅列を使った演出がちょっとクドすぎるんじゃないかと・・・

あとプーさんのお腹がすいてグウゥゥゥゥゥ・・・ぶるんぶるん!の演出も多すぎやしませんかね・・・。正直、しつけーよ!って気持ちを抑え切れませんでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿