さる2011年10月5日、アップル元CEOスティーブ・ジョブズが亡くなりました。
彼はアップルのCEOでありながら、映画製作会社ピクサーのCEOも務めていました。
ジョブズの死去に際し、アップル・ピクサーの両社とも自社サイトのトップページに追悼メッセージを掲載しました。
これがまた超対照的で興味深いんです。
こちらがアップルのトップページ。
THE・偉人!って感じですね。
いかにもアップルらしい洗練されたデザインが印象的。
そしてこちらがピクサーのトップページ。
左から、
エド・キャットムル(ディズニー・ピクサー社長)、スティーブ・ジョブズ(ピクサーCEO)、ジョン・ラセター(ピクサークリエイティブ部門のトップ)。
ピクサー設立者3人が仲良しこよししている微笑ましい写真です。映画館の座席でっていうのも泣かせる・・・。
こんなのもありました。
ジョブズと同じ黒のタートルネックセーターに身を包んで彼を偲ぶピクサーのキャラクター達。
加齢と共に涙腺が馬鹿になってきてる俺には、こういうのがやけに泣ける・・・(;_;)
ジョブズの訃報が報道された直後、カリフォルニア州エメリービルにあるピクサー社に大きな虹がかかったんです。
なにこのファンタジー。
もともとピクサー(当時はまだピクサーという名前も無かった)はルーカス・フィルムの中にあって、VFX効果用のCG製作ソフトを開発している一部門でした。しかしこれといった成果を挙げることが出来なかったうえに、金ばっかりかかって仕方ないってんで、ルーカスフィルムは自社のCG部門を手放すことになったのです。
そんな時、そのCG部門を買収したのがスティーブ・ジョブズでした。
たった1000万ドルで買収したそのCGチームを「ピクサー」と命名、CG製作ツールの開発を続けさせました。
そしてジョブズは、ピクサー社の開発したツールの性能を宣伝するために、ディズニー出身のクリエイターであるジョン・ラセターさん(現在はピクサー製作部門のトップ)に短編アニメーション作品を作らせます。
このアニメ作品を観たジョブズさんは「CGアニメ、結構イケるじゃん!」「CGで映画なんか作ってみたらオモロイはず!」という構想を抱くわけです。
それがピクサーがCGアニメ製作会社としてスタートするきっかけでした。
しかし、この頃のCG技術はまだまだショボくて表現力に乏しかったので、CGだけで映画をつくるなんて夢のまた夢でした。
しかも当時は「リトル・マーメイド」や「美女と野獣」などが大ヒットしていた所謂「第2期ディズニー黄金時代」で、もちろん手描きアニメーションが主流。コンピューターグラフィックで映画を作ると言っても誰も見向きもしない時代でした。
それからしばらくピクサーはCG製作ツールの技術開発に取り組みまくりつつも、少しも儲けを出すことはありませんでした。
それでもジョブズは万年赤字のピクサーにCM製作などのちっちゃな仕事を持ってきてあげたりして初期ピクサーを経済的に支えました。イイハナシダナー (;_;)
そしてついに、ピクサーが陽の目を見る日がやってきました。
1986年にピクサーが製作した短編「ルクソール Jr.」がその年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされちゃったのです。
そして1988年には、短編「ティン・トイ」でついに同部門を受賞しちゃったのです!やったぜベイビー!
「アカデミー受賞」という強力な武器を手に入れたピクサー。
この武器を持って、ジョブズはついにディズニーと交渉します。
まあこの時ピクサーはディズニーアニメの下請け(着色など)をやっていたので多少つながりはあったものの、それでも映画製作の第一歩としていきなりディズニーに話を持っていくのが凄いです。
一体どんな勝算があったのか知りたいくらい無謀な話に思えますが、なんと交渉は成立。
めでたくピクサーはディズニーとの提携と配給契約を結ぶことに成功したのでした。
そしてそこからまた超ドラマチックな展開があり(話せば長いので男らしく省略します)、ディズニーはピクサーを買収。その後またゴニョゴニョして(長くなるので九州男児として省略します)、最終的には実質経営権をピクサーに全部託しちゃうまでになりましたとさ。めでたしめでたし。
その後のピクサーの活躍は皆さんご存知のとおり。
ジョブズパイセンはアップルCEOとしてコンピューター業界に偉大な功績を残したと同時に、ピクサーCEOとして映画史を前進させる偉業を果たしたどえりゃー男でもありました。
ジョブズは「なぜ映画の仕事をするのか?」ということについて、こう語ったそうです。
「映画の世界はゼロサムじゃないからね。コンピュータービジネスには勝者と敗者しかいないんだ。ウィンドウズを買った人は、もうマックは買わない。だけど、映画は違う。素晴らしい作品が何本もあれば、人々はそれを全部観る事だってあり得る。」
非常に素晴らしい発言ですね。
つまり、映画はどんな奴の感情をも揺さぶることが出来る、ってことでしょ。
さすが一流のクリエイターは何を語らせても一流です。。
ここで懺悔をひとつ。
かつての僕はアップルおよびアップル社の製品が嫌いでした。
理由は特にありません。なんとなく、です。
強いて言うなら、僕が卑屈な人間だったからです。
なんとなくオシャレだったのがいけ好かなかったのかもしれないし、なんとなくオシャレなアップル社製品に人が流れていくのが不快だったのかもしれません。
「macはwindowsと違ってウィルス感染の心配がない」と言いながら、windowsマシンがウィルス感染するよりmacが故障する頻度の方が高いのにも「何だそれ!」って思ってましたし、なにより「マイコンピュータとして不安定」という印象が非常に強かったです。マシンの安定性や使えるソフトの種類を考えたら、どう考えてもwindowsの方がイイだろ、とも思っていました。
特に音楽をやってる人だったりクリエイターだったりが使っているマックが「なんとなくマック」に見えて嫌でした。
マック使ってるほうがクリエイターっぽく見えるからマックなんだろ?と非常に卑屈なモノの考え方をしておりました。
そのむかし、僕がアップルストアでインストアのライヴをやらせて頂いた時も、店内にwindowsマシンであるSONYのVAIOを持ち込んで演奏したほどであります。
今となっては馬鹿だったとしか言いようがありませんが。
でもそれぐらい、アップルには抵抗を感じていました。
そんな僕も今やすっかりiPhone & iPod ユーザー。
今となっては、なんであんなにアップルが嫌いだったのか全く意味がわかりません。
これほどまでにユーザーをワクワクさせてくれる企業はそうそうありませんよね、まったく!
俺は最初から「アップルはやるときゃやる会社だ」って思ってたんですよね~。アップル嫌いとかウソウソ!
今までちょっと不良ぶって反発してただけだから!
パソコンは相変わらずwindowsですが。。。
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