シネリーブルで「冷たい熱帯魚」。
ヤバイ、ヤバイ、とは聞いていたが本当だった。
でんでんの怪演も勿論凄いんだが、もう、凄い所しか無い。
なんちゅう映画だ!生まれて初めての感触だ!
悪意と絶望の塊のような凄まじい傑作だった。
これまでの園監督作品は、絶望的な世界を描いてみせながらも最終的にはひとすじの希望の光を見せてくれた。
今回の「冷たい熱帯魚」には、それが一切ない。
最初から最後まで、絶望しかない。登場人物が誰ひとりとして救済されることなく絶望的な物語が絶望的に終わる。
どれぐらい絶望的かというと、
映画を観ている僕が「こういう展開であって欲しい」と思った事が何ひとつ叶わない。
逆に「こうならないで欲しい」は全部そうなってしまう。
観客の希望を全部外してくる。全部外していると言う事は全部当てているという事とイコールだから、ここは園監督の凄さとしか言いようがない。
この世に愛も希望もあるかよ!でもどうにかやっていかなきゃしょうがねえじゃねえかよ!と耳元で怒鳴られているような気分。
っていうか、ここまで何の希望も救いも与えてくれないと、逆に清々しい爽快感すら感じる(笑)。
「埼玉愛犬家連続殺人事件」という実在の事件をモチーフにしたエログロ血みどろな物語なのに、なぜかニヤけてくる。笑ってしまう。
「自分の想像を超えた何か」に出会うと、人は笑ってしまうんだな。
一切の妥協を許さぬどん底の絶望を見せつけられ、終始ニヤニヤが止まらなかった。陰惨なな暴力と殺伐とした狂気が連鎖して「耐えがたい不快」を生みだし、それがある一線を超えると、全てがギャグに転化してしまう。
この映画は実在の事件をモチーフにしながらも、出来上がった作品は「おとぎ話」であると感じた。酷く凶悪で残酷なファンタジー映画に見える。園監督作品独特の「心地よい支離滅裂さ」がそうさせているのだと思う。
何の救いようもなければ希望の欠片も見出せない話だけど、観終わった後の「苦しかった、でも楽しかった」というゆらゆらした気持ちは一体何なんだろう。まさにファンタジーとしか言いようがない。
でんでん演じる村田のセリフ「オレはいつだって勝新太郎!」は映画史に残る名台詞として後世に語り継がれるだろう(笑)。
こちらは特別予告編。共同脚本の高橋ヨシキVer.
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