2011年2月20日日曜日

JOE


土曜の夜は毎度お馴染み「俺のT-ジョイ久留米」であしたのジョー
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先日の「GANTZ」の時にも思った事だけど、荒唐無稽な漫画原作をこのくらいのクオリティで再現出来てりゃ合格って事にしてあげなきゃ可哀想って感じ(笑)。

まず「あしたのジョー」で重要なのは主な舞台となる「ドヤ街」の再現、つまり美術面だと思うんだけど、これは完璧。「ALWAYS」みたいに『ほとんど異次元』になることもなく、結構な出来栄え。
強いて言えば、これが昭和何年ごろの話かを説明して欲しかったんだけど。ちょっと時代背景が漠然としすぎてて『いつの話とも知れない』感じが・・・。ま、そんな事はどうだっていいか!


山下君、伊勢谷君の役作りと演技も『誠実さ』が感じられて、与えられた役を『あしたのジョーの世界観』の中で精一杯真っ直ぐに演じている姿には好感が持てた。原作だとジョーはもうちょっとお茶目なんだけど、そこを実写でやるとあまりにもチャラくなっちゃうし、山下君はキメキメのカッコつけ芝居しか出来ないみたいだから(苦笑)、今回の抑えめなジョーもこれはこれで良かったんじゃないかな。

そんでもって香川照之ね!
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最初に香川照之のこのルックを観た時には脱力どころか絶望すら覚えたんだけど、なんのこたぁない、映画で観ると全然問題ないじゃん。っていうか完璧!ともすれば単なる悪ふざけにしか見えなくなるような難しい役を完璧にこなせてる香川照之の凄さも必見。そこにちゃんと丹下段平がいたよ!『素晴らしい明日は 今日という日を綺麗事だけで過ごしてちゃ永久にやってこねぇ。ジョー、お前は明日に向かって死に物狂いで戦って、泪橋を逆に渡れ!』のくだりなんてちょっと泣きそうになったよ。原作だと半分ぐらいは白木葉子のセリフなんだけどね(笑)。

で、こんだけ頑張ってる主要キャストの演技や徹底した美術は素晴らしいんだけど、それゆえに悪い所が凄く目立つ。

それは香里奈!お前の事だ!『クイーン・オブ・棒読み』の称号を投げつけてさしあげます!ここ最近の映画でこんなに芝居が下手な女優も珍しいよ。早くも2011年サイテー女優賞の予感。だいたいあんなババくさい女が『お嬢様』って呼ばれてる事が怖くて怖くて仕方ない。


芝居が下手って事で言えば、力石の遺体を前に号泣する山Pの『りぃ~きぃ~いぃ~しぃ~(泣)』も凄い。子供がウソ泣きしてるレベルの演技力じゃんコレ。この人はカッコつけてる芝居とぶっきらぼうな芝居しか出来ないんだろうね。崩れた芝居になると途端に大根になっちゃうからビックリしたわ。

ボクシング映画という事もあってか、クロスカウンターが決まる瞬間とかスーパースローカメラとかストップモーションで劇画チックに見せるシーンが多い。まあ確かにジョーっぽくて面白い見せ方ではあるけども、多用しすぎてだんだん効果としての新鮮味が薄れてくるし、『またかよ』って感じで食傷ぎみ。それに1本の映画でスローモーションが20回近くあるのはいくらなんでも多すぎでしょ。せめて1試合に1回、重要な見せ場で使う程度にして欲しかった。『十三人の刺客』なんて、あれだけ長尺の壮絶なアクションシーンがあってもスローモーションなんて1回も使われてないからね。

脚本は原作を上手くダイジェストしていてテンポよく進む。
・・・かのように見えたんだよなあ、最初は(笑)。
突然、『白木葉子が実はドヤ街の孤児院出身で、自らの黒歴史を憎んでいるがゆえに、ドヤ街を潰して巨大なスポーツ施設を建設する再開発計画を企てている』という謎の設定が登場。
その後は何故かジョーがドヤ街を守るために立ちあがったドヤ街存続派を代表するボクサーみたいな存在になっていって・・・って、あしたのジョーってそんな話だったっけな(笑)?

そもそも白木葉子がイチイチ物語に絡んできすぎな脚本なんだけど、しかもその白木葉子が例の棒読み香里奈だからいちいちイライラするんだよね(笑)

そんでもって、ストーリーの起承転結の時間配分がメチャクチャで、1つの物語として凄く不細工なんだよなあ。
力石死亡以降の物語的推進力の無くなりっぷりなんか圧巻だもん。
力石が死んだ時点で、「え?これから20分以上残ってるんだけど・・・?」って思ってると、さんざん間を持たせた挙げ句、これといった理由もきっかけもなく『ジョーが帰って来てくれてよかった』って話で終わりって・・・。これって何なのかね(笑)?
これは邦画全体の悪い所でもあるんだけど、『後日談がショボい』んだよね(笑)。

とまあ、色々言いましたけど、『あしたのジョー』、必見です(笑)!

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